自由気ままに 〜山、旅、心〜

山登りの記録や、旅の記録、日常生活の中で感じたことをのほほんと綴るブログ

我ら廃道探検隊 -烏帽子岳 (1450.5m)-

新潟県糸魚川市にある海谷山塊は、標高も知名度も高くない割には、険しい山々が連なる特徴ある山域だ。今日は、奉納山行ということで、烏帽子岳を目指すことにした。

 

糸魚川ICで高速を降り、8号線から県道270号線に入る。しばらく進んで県道484号に入り、その後は林道へ入っていく。この林道は道幅が狭く、途中から悪路となってそれ以上車が入らなくなる。8時10分、標高600m手前の地点で車を置いて歩き出す。今日は初めてのスパイク付きの長靴での登山だ。泥々の斜面を登るため、普通の登山靴は不適なのだ。

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しばらく歩くと舗装が途切れ、完全に廃道と化した林道となる。

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昔架けられた橋は既に跡形もなくなっており、歩いて沢を渡るしかない。

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1時間20分ほどかけて4kmほど歩き、林道の終点まで来た。ここが烏帽子岳への登山口だ。標識が地面に倒れていた。この登山道は既に廃道なのだ。

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 しばらくはまだ登山道が残っているが、地面は泥々で滑りやすい。まずは、917.3mピークへのやや急登の道を進んでいく。

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突如、鋭くV字にえぐられたルンゼが現れる。慎重に底まで下って登り返す。

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標高1000mを超えたあたりで綺麗なブナ林が広がっていた。だが、尾根も広く道迷いの危険が高い場所だ。

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立派なキノコが生えていた。クリタケと予想するが、真実はいかに。

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ガスが出ていい雰囲気だが、道が分かりづらい。所々にあるペナントが頼りだ。

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立派なホオノキが生えていた。本当に大きい葉っぱだ。

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人が立ち入らないとすぐに自然に戻る。自然は偉大だ。藪の中を突き進んでいく。

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 藪漕ぎのコツは、両手で枝をかき分けて体が通れる隙間を作ってから進むこと。

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11時33分、1270mピーク手前まで来た。その先は、稜線の少し下をトラバース気味に進む。

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12時30分、トラバース道から再び尾根に入る。山頂までは残り100mほどだが、尾根上はひどい藪でなかなかたどり着かない。しかも痩せた尾根であり、危険である。途中、巨大な落とし穴のような岩屋があった。落ちたら確実に骨折する深さであるし、自力では這い上がれないだろう。

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12時40分、山頂に到着。着ていた合羽は、昨日急遽買った300円のものである。高い合羽が藪で傷つくのが嫌だったのだ。だが、さすがは安物の合羽、すぐに撥水効果はなくなり、中まで水が浸透し、上半身はずぶ濡れになっていたため、立ち止まると猛烈に寒い。他の皆も全身びしょ濡れであった。急いで記念写真を撮って下山を開始する。

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下山では、カメラが濡れるのを嫌がって写真をほとんど撮らなかった。濡れたシャツからの水がズボンを徐々に濡らしていき、ついには靴下まで到達してしまった。つまり、全身ずぶ濡れである。動いている分にはそれほど寒くないが、止まると急激に寒くなる。

 

車まで戻ってきたのは16時20分頃であった。林道から下の集落が見えた。日本の原風景だ。

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日本海も綺麗に見えていた。

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車に戻って急いで支度を整え、車の中に飛び込む。着替えを持ってこなかったのが痛恨のミス。寒さに震えながら耐えるしかなかった。

 

帰る前に焼山温泉に入った。冷えた体に温泉は最高である。一気に身体が蘇った。入浴料はわずか500円。最高に価値のある500円となった。

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雨に濡れることは、これほどまでに体温を奪うことを身をもって学んだ。山のプロ達が、口を揃えて「降るなら雨より雪のほうがまし」という理由が分かった。雪は降っても体は濡れないが、雨だとすぐに体が濡れる。そして蒸発する際に莫大な熱量を体から奪っていくのだ。雨を舐めてはいけない。

 

全身ずぶずぶの泥臭い山行だったが、実りのある充実した山行でもあった。