自由気ままに 〜山、旅、心〜

山登りの記録や、旅の記録、日常生活の中で感じたことをのほほんと綴るブログ

家族と狂気

最近、湊かなえの『夜行観覧車』を読み終えた。家族と狂気にスポットを当てた小説であったと思う。湊かなえの小説はこれで2本目。以前読んだ『告白』との共通点がいくつもあった。例えば、どちらも殺人事件を題材としている点。また、一つの事件に関して、様々な関係者の視点から描写している点、さらに、登場する人物が狂気じみている点だ。

 

夜行観覧車』はエリート一家の中で起こった殺人事件を描いている。日本では家族内での殺人事件が多い。家族は、お互いの心を癒す存在であるはずだ。それなのになぜ。

 

家族ほど距離が近い他人はいない。家族とは言えど、他人である。他人であるからこそ、価値観も性格も違う。だから衝突もする。家族が円満にやっていくのに大切なことは、「他人はコントロールできない」ということを常に意識することだと思っている。

 

子供をどうしても医者にしたい親。良い大学に行かせたい親。こういった親のこだわりは、子供を想像以上に追い詰める。子供には子供の人生があるのだから、そのようなこだわりは、子供を思い通りにコントロールしようとしていることに他ならない。そのような親子関係は健全でないと思う。

 

また、『夜行観覧車』を読んで感じたのは、狂気は誰の心の奥底にも眠っている、ということだ。これは考え出すととても怖いことだ。

 

「あなたは将来、重大な犯罪を犯さない自信があるか?」と訊かれたら、ほとんどの人はYESと答えると思うが、例えば、追い詰められたり、大きなストレスを受けたりした際に、心の奥底に眠る狂気が目を覚ましてしまう可能性は否定できない。自分に降りかかる出来事を全て受け入れること、心穏やかに過ごせている日々に感謝すること。これが、狂気を目覚めさせないために大切なことなのかもしれない。