鈴懸の木
私の住む街でも街路樹として植えられている鈴懸の木。
この木を見ると故郷を思い出す。
祖父母はいつでも私に優しかった。
あの頃、大きな鈴懸の木が植えられた街道を祖父母とよく歩いていた。
あの道沿いの鈴懸の木は本当に立派であった。
道路の上を完全に覆うくらいの大きさで、夏は緑のトンネルとなった。
秋は鈴のような実をつけ、冬は大きな葉っぱを一斉に道路一面に落とした。
社会人となった今、遠い故郷に帰る機会はなかなか訪れない。
それでも、あの道の風景は私の心にしっかり刻み込まれている。
鈴懸の木。
私にとっては、異郷の地にいても故郷を感じさせてくれる大切な木だ。
祖父母は今でも元気にしているだろうか。