自由気ままに 〜山、旅、心〜

山登りの記録や、旅の記録、日常生活の中で感じたことをのほほんと綴るブログ

天狗塚 (1812m)で空中散歩

久しぶりの四国の山。どこに行くか悩んだ。剣山から三嶺までの縦走がずっと憧れだったのだが、先週の灼熱地獄の経験から今回は却下した。行ったことのない山ということで、剣山から南西に伸びる長大な尾根の西端に位置する「天狗塚」を選んだのである。

 

午前4時過ぎに起床する。まだ外はうすら暗い。昨夜はぐっすり眠ったが、まだ眠い。それでもテント内の片付けをし、テントを撤収する。周りの人たちはまだ寝ているので、静かに作業した。5時過ぎにキャンプ場を後にする。

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車で天狗塚の登山口へ向かう。中尾山高原から国道438号線へ続く林道は、落石による通行止めとなっていたため、仕方なく来た道を引き返し、麓で438号線に入る。せっかく標高1000mまで登ったのに、標高400mまで下りる羽目になるのだ。距離にして18kmほど余分に走ることになる。438号線に合流したら、見ノ越(標高1410m)への登りが始まる。急斜面を縫うように作られた道で、細かいカーブが連続する10km以上に及ぶ酷道区間だ。

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標高が上がってくると、見晴らしが良くなる。東の空には太陽が輝いている。雲一つない穏やかな朝だ。

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6時8分、見ノ越を通過する。キャンプ場から1時間近くかかってしまった。登山口まではまだまだ遠い。ここから国道439号線に入る。国道439号線は「日本三大酷道」の一つにも数えられる道だ。秘境の中を突き進む。 

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奥祖谷の二重かずら橋を通過し、もう少し行くと、名頃という集落がある。通称「かかしの里」だ。道沿いからも数十体のかかしが確認できた。かなりリアルだ。

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いやしの温泉郷へ向かう林道に入る。温泉の裏の林道を進んで行けば、天狗塚の西山林道登山口(標高1120m)に到着する。見ノ越から登山口まで、さらに1時間強の道のりであった。この辺りは、徳島市内からであれば、3時間以上はかかる秘境なのだ。7時半に登山を開始する。

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最初は植林された杉林の明るい道。やや急登だが、ゆっくり登る。

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木々の隙間から向こうの山を望む。集落が山肌に形成されている。これは四国の特徴の一つだ。

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8時15分、1476mピークに到着。持ってきたスイカを食べて水分補給。

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標高1650mを超えると木々がまばらになり、視界が開けてくる。東は石鎚山まで望める。

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頂上が見えた。天狗塚は綺麗な三角錐の形をしている。

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天狗塚の西側には「牛の背」と呼ばれる広大な笹の平原が広がっている。

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9時半、標識を通過。ここで標高は約1800mある。

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天狗塚へは、一旦少し下ってから登り返すことになる。辺り一面シコクザサに覆われていて美しい。

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あまりの美しさに感動を抑えられない。

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 植物もポツポツ咲いていた。オトギリ、フウロ、リンドウの仲間が多かった。

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10時、天狗塚の頂上に立った。360°の眺望が広がる。

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東の方には、三嶺(1893m)。そして遥か彼方に剣山(1955m)と次郎笈(1930m)。

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西の方には牛の背。

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徳島県にこんな美しい場所があったのか。

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山頂では1時間ほど滞在し、チキンラーメン等を食べた。11時に下山を開始する。太陽に晒される稜線上はやはり暑い。

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樹林帯に入ると涼しく感じる。標高1650m付近を境に世界がガラリと変わるのは不思議だ。

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12時45分、登山口まで戻ってきた。程よい疲労感である。両親も久しぶりの登山を楽しんでいたようだった。

 

四国の山々は北アルプスほど規模も大きくなければ、標高も高くない。それでも、北アルプスにはない美しさを持っている。そこには、人々を惹きつける魅力が確かにあるのだ。