自由気ままに 〜山、旅、心〜

山登りの記録や、旅の記録、日常生活の中で感じたことをのほほんと綴るブログ

猫又山(2378m)〜雪渓と雲海の上へ〜

GWが明けてから1週間が経つ。週末は相変わらず山に行きたくなる。5月は残雪の春山だ。雪が適度な硬さであるため、登りやすく降りやすい。

 

本日は猫又山に行ってきた。本来なら3月(大明神山経由で毛勝山を目指したが南峰手前でタイムアウト)のリベンジを兼ねて毛勝山に登りたかった。しかし、今年は雪が少なく、毛勝谷の下部は既に川となっているらしい。そこで毛勝は諦め、南又谷から入って猫又谷を詰めることで猫又山を目指すことにした。

 

 午前7時。胴杉の先の発電所付近に車を停め、歩き始める。この辺りで標高は約700m。目指す山頂は標高2378mであるから、標高差は1700m近くもある。長い1日となりそうだ。緩やかな上り坂の廃れた林道を歩くこと約1時間、道の終点となり、いよいよ猫又谷に入る。はるか彼方にこれから登っていく谷筋が見え、胸が高鳴る。標高も1000mを超えた。

f:id:chocomountain:20160514215805j:plain

 

谷の下部の雪は完全に消えており、岩がゴロゴロした沢沿いを慎重に登っていく。幸い、藪はそれほどひどくなく、30分ほどで雪渓の下端に到達した。午前8時半、標高は約1200mである。

f:id:chocomountain:20160514220226j:plain

 

道中に咲いていた花である。可憐だ。

f:id:chocomountain:20160514220331j:plain

 

アイゼンを装着し、ピッケルを手に持って雪渓を登り始める。下部は傾斜もそれほどきつくなく、快適に歩ける。雪の下は川になっている。雪の薄い箇所を歩くと、踏み抜く危険性もあるため、ベテランのSさんが先導する。中途半端に発生したガスが荘厳な山の雰囲気を醸し出す。目指すはこの雪渓の終点、まだまだ道のりは遠い。

f:id:chocomountain:20160514220614j:plain

 

振り向くと、谷に迫りくる雲の姿。上に登ったら雲海が見えるだろうか。

f:id:chocomountain:20160514221007j:plain

 

午前9時50分。標高1750m付近の潅木帯で小休止する。頂上はもう見えているが、Sさんは、あと2時間はかかると言う。その時、後ろの谷で発生した小規模な雪崩の音が聞こえてくる。こんなに締まった雪でも雪崩が発生するものなのだな。

 

ここから先は勾配が徐々にきつくなってくる。直登が厳しくなってくるとジグザグに登る。暑い。持ってきた水は2L弱。心もとなくなってきたので、雪を少し掘り、内部のきれいな雪を食べながら登る。

f:id:chocomountain:20160514221435j:plain

 

上部の方まで来た。かなりの傾斜だ。スリップすると止まらないであろう。慎重に進む。雲海が見事である。

f:id:chocomountain:20160514221826j:plain

 

コル手前では再び傾斜が緩む。コルの先の景色が気になる。もうすぐだ。午前11時、標高約2200mのコルに到達した。一気に広がる絶景に息を飲んだ。

 

雲海から頭を出す剱岳

f:id:chocomountain:20160514222242j:plain

 

後立山連峰唐松岳、五龍岳、鹿島槍ヶ岳)(サングラス越しに撮ってみた)

f:id:chocomountain:20160514222512j:plain

 

 ここから稜線を少し歩けば頂上である。所々雪がなく、夏道が出ている。また斜度が急な箇所もあり、慎重に歩く。

f:id:chocomountain:20160514223846j:plain

 

途中上から降りてきた人が一人いた。釜谷山と猫又山を登ってきたらしい。黒部在住で高校の先生をされているとのことだ。f:id:chocomountain:20160514224215j:plain

 

 午後0時10分。ついに猫又山山頂に到着である。

f:id:chocomountain:20160514224411j:plain

 

釜谷山、南峰、毛勝山がきれいに見える。f:id:chocomountain:20160514224703j:plain

 

富山湾側には雲海が果てしなく広がる。f:id:chocomountain:20160514224637j:plain

 

 景色を目に十分に焼き付け、午後0時40分に下山を開始する。下りはスリップに注意だ。傾斜のできるだけ緩い安全なルートを見つけながら来た道を戻っていく。それでも急な箇所はバックステップで確実に。

f:id:chocomountain:20160514225248j:plain

 

午後1時、コルまで戻ってきた。ここからは雪渓下りだ。晴れていて、雪渓のはるか下まで見える。気温が上がり雪が緩んでいるため、かかとをしっかり食い込ませれば怖くない。全くへっぴり腰になることなく、猛スピードで駆け下りる。非常に気持ちの良い下りだ。

f:id:chocomountain:20160514225515j:plain

 

 下りは本当に楽で早い。1時間で900mも降りた計算になる。後ろを振り返ると青空と白い雪渓のコントラストが美しい。そろそろ雪渓の終端が近づく。

f:id:chocomountain:20160514225815j:plain

 

雪渓が終わり、沢沿いを降りていく。新しい命がどんどん芽吹いていた。

f:id:chocomountain:20160514230120j:plain

 

不純物のない雪解け水と美しい黄色の花々。心が洗われる。

f:id:chocomountain:20160514230143j:plain

 

コゴミが群生していた。若いものを少々摘み、家に帰ってから塩茹でした後、マヨネーズにつけて美味しく頂いた。

f:id:chocomountain:20160514230142j:plain

 

もうすぐ林道に出る頃にはガスがかってきて暑くない。ナイスタイミングだ。

f:id:chocomountain:20160514230145j:plain

 

午後2時40分、林道に出た。後は緩やかな下り坂を歩いていくだけだ。新緑が鮮やかである。贅沢な森林浴となった。午後3時半、車まで戻ってきた。天気に恵まれ、非常に素晴らしい山行となった。

 

反省点は持ってきた水の量が少なかったことだ。夏が近づくにつれ、だんだん暑くなってきており、汗の量も増える。今日の山行は3Lくらい水を持ってくるべきだった。また、今日の食料はほとんどカロリーメイトであったが、後半はさすがに嫌になってきた。おにぎりやサンドイッチ、ソーセージなどバリエーション豊かにするとより良いと思う。

 

ともあれ大満足な一日であった。